どうもたんたん(@tantan4423)です。
僕は去年の3月に以下のような記事を書きました。

この記事は反響があって約2万PVと多くの方に読まれた記事でした。
僕はこの記事の反響があって、朝日新聞者の記者さんに取材をしてもらって多くの方に僕の存在を知ってもらったという経緯があります。
なのでこの事件に関する僕の思い入れはとても大きいです。
そして今日はその朝日新聞者の記者のお声掛けをいただいて、1/30に行われた裁判後の記者会見と報告会に行ってきました。
この記事ではその感想とこの事件によって業界がどうなるのか?ということを書いて、このひどい現状を多くの人に知っていただきたいと思っています。
もしこの記事を読んだら拡散をして現状を多くの人に伝えて欲しいとも思っています。
ちなみにその後僕が感じたことは以下のツイートの通りです。
あずみの里のドーナツの件の公判の報告集会と記者会見に行ってきました。
結論を先に言うと、「このままでは介護業界が崩壊する」ということです。
— たんたん@『幸せな働き方』出版 (@tantan4423) January 30, 2020
この記事の目次
特養あずみの里の事件の概要とは
長野県の特別養護老人ホームでおやつを食べた入居者が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた准看護師に有罪判決が出され、介護現場に波紋が広がっています。
特別養護老人ホーム「あずみの里」で、入居者(当時85歳)が提供されたおやつを食べ終わったところで意識消失し心停止になって救急搬送されました。
その後、心拍は戻ったものの意識が戻らずに一ヶ月後に低酸素脳症(脳に酸素が行き届かない状態)で死亡しました。
その中で当時おやつを食べてもらうため介助をしていたということから、山口さんに対して刑事告訴をしたという流れです。
ちなみに施設と遺族の間では示談が成立していて、1300万円の保険金が支払われています。
この事件の判決は昨年の平成31年3月25日に有罪判決を言い渡しました。
主な理由としては以下の三点です。
・死因はドーナツを摂取して窒息したことが原因である
・山口さんが利用者に注意して食事介助を行なっていなかったから。注意していたら防げていたと判断したから
・おやつを配る前に気をつけていたら防げていた事件だった
ということです。
実際に利用者さんの方は歯も無いことから、飲み込みに大きな障害があって、普通に咀嚼する能力に問題があったので、その辺を考慮した結果では無いか?と思っています。
しかしそもそも本当に窒息だったのか?ということがあって、被告側は「脳梗塞だった」という反論をしています。
そういう背景もあって、この事件は東京高等裁判所で控訴することになりました。
で今回僕が行ったのが、その控訴の裁判でその後の山口さん側の報告集会と記者会見でした。
あずみの里の裁判の意義と争点について
前回の第一審では有罪になってしまったのですけど、個人的にはこのまま終わってしまったら介護現場が終わると思っていました。
というのも誤嚥が起こってしまってその近くにいた人が有罪判決を受けてしまうということが前例になってしまうと、「危ないものを食べさせてはいけない」となってしまいます。
実際に今回の事件の影響もあって、長野県内の施設でおやつの提供をやめてしまう所も多く出てきました。
そう考えるとこの事件がこれからどうなるかは、これからの介護業界の未来が左右されると思っています。
日本の介護を守るために戦っている
そもそもなんですけど、個人的にはこの事件でなぜ個人の職員が刑事告訴を受けたのか?というのが全然分からないんですよね。
どちらかというと施設側の過失であって、一職員の山口さんが今のような状態になっているのか分かりません。
しかも示談はすでに成立していて遺族側は1300万円をもらっているのに関わらずに刑事告訴をするのも、「なんか嫌だな」という印象を受けます。
実際にこういう事例が出てしまうと介護施設の立場がものすごく弱くなって「訴えたものが勝ち」という状況を生み出します。
実際に今でも介護施設に対して訴えたらだいたい勝ててしまうので、一種のボーナスタイムに入っているのでは無いか?と思っています。
そのことに関しては別の記事でも解説しているのでもし良かったら読んでみてください。

実際に「確認義務があった」とか言っていますけど、山口さんは看護師であって、普段直接ケアをすることも少なかったですし、それなら現場がしっかりそれを伝えていないのもどうなのか?と思います。
あと単純に看護の人に食事介助をさせてしまう現場がどうなのか?という疑問もあります。
僕も一介護士として働いていた経験がありますけど、ここ最近の介護関係の判決をみていると「本当介護現場のこと知らないな」というのは感じます。
まず一回介護現場に足を運んでそのリアルを知っていただきたいというのがありますね。
いかんせん、公務員側の介護業界の理解が薄いことで今まで振り回されてきた過去もありますし、こういう場でも介護の仕事に関する無関心さがみれたのでは無いか?と感じています。
冤罪から山口さんを守る人権の保護
山口さんの弁護側の主張としては以下の通りです。
・急変、心肺停止、死亡の原因は窒息ではなくて脳梗塞である
・死後のCTの影像から脳底先端部の梗塞があった
・この事実がわかったのは1審の審理中である。控訴審で明らかにされた
・ドーナツを食べての窒息でないのなら冤罪である
でこの事実を裏つけるものとして証人である複数の医師からの脳梗塞の診断が出ています。
その図を以下に貼ります。
※控訴審公判前なので下記の医師への取材はご遠慮ください。

これをみると最初の一審の検察側の証人の医者以外はみんな脳梗塞の診断を出しています。
しかし一審側で出た窒息の意見を信用してその他の証言に耳を貸さないという状況になっています。
実際に報告集会に行った時も「裁判所の反応が良くなかった」ということは弁護団も言っていました。
空気感も「控訴審で無罪を勝ち取ろう」というよりも「最高裁をどう戦っていくべきなのか?」という感じでした。
個人的にはここまでしっかりした証拠を揃えておきながら負けることがあるのか?ということも思います。
しかし実際に過去のあらゆる裁判を見ていても基本的に検察側が有利に働くことが多いですし、最高裁に行ってやっと無罪判決を受けた事例も多いです。
あと単純に「検察は正義」「加害者であろう人の弁護人は悪」みたいな風潮は強いのもあると思います。
なので加害者側の弁護の情報は「嘘が混じっている」みたいな警戒心があって信用されないかもしれません。
とは言っても裁判は公平であるのが絶対であって、証拠に耳を貸さないみたいな態度は許されるものではないと思っています。
この裁判で介護職ブロガーの僕が思うこと
僕自身はこの裁判は日本の介護業界のこれからに大きく左右すると思っています。
実際に今回負けてしまったら僕も介護職として現場に戻るというプランも一回考えないといけなくなってしまいます。
このまま進んでしまうと日本の介護現場が終わってしまう
もし最高裁で負けるようなことがあってしまうと圧倒的に利用者側が有利な状態が生まれてしまいます。
そのバランスが崩れてしまうと運営できない介護施設も増えてしまいと思います。
それこそ先ほど書いた通りに「訴えたもの勝ち」みたいになって、個人に対して訴訟を平気でされる職場になったらきついです。
僕も介護の仕事が好きですけど、簡単に訴えられてしまうことになったら、多くのリスクを抱えて仕事をする結果になります。
お金を稼ぐために働いているの事件が起きたら近くにいたという理由だけでお金を取られてしまうなんて普通に損する仕事ですからね。
相当なマゾでない限りそういうリスクを背負って低賃金の仕事をしたいとは思わないはずです。
ただでさえ給料が低い中で犯罪者になってしまうリスクがある業界で働くのは躊躇ってしまいます。
こういう案件を見てしまうと学生とかの進路でも「介護職は魅力的だけど国が冷遇するからやめよう」と選択肢からどんどん外れてきます。

今でも人手不足なのにさらに人手不足が深刻になります。
そういう状況が続いたら介護業界が終わってしまうのも普通に考えられますよね。
そういう意味では今回の裁判結果によって「介護職は底辺」というのを国が認めてしまった意味として考えられても仕方ないです。
そしてこの判決が出たことの業界の影響は大きくなって、積極的なケアは行われなくなります。
おやつはもちろん提供されませんし、リスクのある利用者や面倒臭そうな家族は受け入れないみたいな動きは出てくると思います。
そうなってくると満足な介護サービスを受けられる人も減ってくるのではないでしょうか?
普通に経営側からしたら施設を運営するメリットが下がりますし、そうなると社会的に必要な仕事である介護士が減ってしまうのもしょうがないですよね。
2025年に介護士は40万人不足するという問題を抱えていることもあって、さらに露頭に迷う高齢者やその家族が出てくると思います。
今回の件で有罪判決を出すことはそういうことでもあるということを考えて欲しいですね。
もっと声をあげて異議を唱えていかないといけない
僕がこうやってブログを書いているのは、「この事実をもっと知って異議を唱えて欲しいから」という思いが強いです。
はっきり言って今回の事件の影響は介護職や介護施設だけではなくて全ての人に悪影響を与えます。
介護は全ての人が避けては通れない道だと思っています。
その中で中で働く介護士の数が減ったり、扱いがひどいと自分の生活に直結します。
本当は働きたいのに介護施設に入れずに在宅で仕事を辞めて介護をせざるを得ないみたいな人も多くいます。
自分の人生が介護によって潰された人も非常に多いです。
今回の事件の判決事例はそういう意味でも大きな影響を及ぼすと思います。
そしてこの記事を読んでくださった人はこの記事を拡散して多くの声を集めて欲しいと思っています。
今回の件で正確な判断をすることが業界の発展につながる
さいごに・・・
今回の報告集会に知り合いの記者と一緒に行ったのですけど、「これが本当ならひどいね」という話もしていました。
僕もこれが本当なら許されないことではないか?と思います。
裁判は公平であるべきですし、実際に証言に聞く耳を持たないという態度で有罪にされてしまうのはたまったもんじゃありません。
そうならないように僕たちはどんどん異議の声を上げていくべきだと思いますし、僕もその異議の声をこのブログを使って表明したいです。
そして多くのこの記事を読んでくださった方も自分たちの生活を守るために異議の声を上げて欲しいと思っています。
最後にもう一度お願いですけど、この記事を読み終わったらすぐにこの記事と僕のツイートを拡散して欲しいです。
ツイッターなら僕も全力でリツイートします。
みんなで日本の介護や国民の未来を守って欲しいと思っています。
よろしくお願いします。
少し熱くなってしまいましたけど、大好きな業界だからこそこういう理不尽に対しては強い怒りを抱いています。
山口さんの人権を守るためにも僕たちの生活を守るためにも皆様の協力をお願いします。